生き馬の目を抜くIT業界において、エンジニアとしてこれからも活躍し続けようと考えるのであれば、時代に応じて日々変わって行かなければなりません。身につけたスキルや知識がたちまち陳腐になって流行らなくなる中にあっても、成長し続けることで自らの存在価値をアピールするのは、例えばサッカーの「本田」のように第一線で活躍するスポーツ選手と同じです。
エンジニアの世界で、一つ抜きん出た存在になる人は、スキルを獲得するだけでは満足しません。そのスキルを活用したり磨くための場を、積極的に求めます。既存の問題に答えるというだけではなくて、問題を自ら作り出して、工夫してその答えを探します。つまりWebエンジニアであれば、クライアントや現場から発せられる問題に対して一つの答えを見つけるというだけではなく、いくつもある答えの中で最適なものは何かという問いを自ら設定して、その問いにも答えようとするのです。今やIT化が進み、これまで以上にクライアントの要求に応えるのが難しくなってきています。クライアントはもはやこれまでのようにどんぶり勘定でIT投資を決めるほど甘くはありませんし、ビジネスの現場で結果に結びつくような投資かどうかを、シビアに数字で判断する方向に変わってきています。
このような高い要求に応じるためには、普段からあれこれと試行錯誤をすることが大切です。様々なアイデアが浮かぶためには、様々なスキルや知識を身につけて、あれとこれとを組み合わせるといったことが出来なければなりません。そして自分の手で形にしたものを友人の間で自慢して見せることによって、新たなチャンスを掴むことがあるのです。ここでプライドが高くて、自分の実力以上に自分を見せようなどと考えると、いつまで経ってもアウトプットすることが出来ません。自己イメージがどうあれ、一度アウトプットしたものは、外部からの様々な批判に晒されますし、そもそも批判も受けることなく無視されるという手痛い仕打ちを受けることも少なくありません。アウトプットをしながら成長する人は、決して今の自分に満足してはいませんが、それでも今の自分の実力のレベルを客観的に認めて、脱皮するようにその上を目指します。「もっと良くしたい」「もっと上手くなりたい」という欲求が、成長を促すのです。「基本に返れ」という言葉をよく耳にしますが、基本から一歩も出ないが故に迷わなければ、当然のことながら基本に返ることもないでしょう。基本に返る必要があるということは、新たな挑戦をしている証拠です。道なき道を進むためには、何度も基本に返りながら、更に一段上を目指すことになるのであり、その道しるべとなるのが、自らのアウトプットというわけです。